A. 写真1は1リットルメスシリンダーと実験用の浄化槽に同じ汚泥を入れてばっ気を停止したところです。

B.30分後には写真2のようにメスシリンダーと沈殿室は88%しか沈降せず、ばっ気室は56%と明らかに違うことが分かります。

C.このような違いは1リットルメスシリンダーでの30分SVがおおよそ50%以上になると現れます。


SV(0)
30分後
SV(30)







写真2の沈降状態でのばっ気室と沈殿室を拡大したのが写真3です。
ばっ気室では明らかな濃淡がみられるのに対して、沈殿室側では汚泥の濃淡が見られません
そして、ばっ気室側の濃度の薄いところが繋がっていて上に向う水の流れ(みず道)があることが観測されます。つまり、汚泥内の水分は上澄み部分へみず道を通り脱水されます(青い矢印)。
また、濃度の濃いところは汚泥のフロックが沈降します(黄色い矢印)。
このように汚泥が沈降する部分と水分が上昇する部分が存在するほうが沈降速度が2~7倍速くなります。この現象を偏流現象と言います。
これらの事から実際のSV測定では次のようなことが言えます。

1.メスシリンダーではその径が小さいので壁の影響を受けやすく、SV値が50~60%以上になると偏流現象が起きなくなります。つまり、沈降速度が遅くなりSV値が高くなります。

2.容量(壁の間隔)の大きいばっ気室(回分槽や沈殿槽)では、さらに濃度が高くても偏流現象が起きるのでメスシリンダーに比べ沈降速度が相当速くSV値は低くなります。

 なお、汚泥内ほぼ全域でこの偏流現象が見られるのが浄化槽汚泥の特徴です。

写真2拡大



[参考]
 月刊浄化槽1993-3 活性汚泥の沈降性に関する一考察(偏流現象について)