岩手県環境衛生課
藤原 良夫
近年、生活排水に起因する中小都市河川の水質悪化が目立ってきており、全国的にも問題となっております。
昭和53年に県が北上川流域におけるBOD負荷量を調査した結果によれば、生活系が63.2%、産業系が17.7%、畜産系が17.0%、その他が2.1%となっており、本県においても生活系の排水が河川等の水質汚濁の大きな原因となっております。
また、河川の水質測定結果のうち、大腸菌群数の環境基準達成率がここ数年30%前後と著しく低い状況にあります。
これらの汚濁源として、し尿浄化槽からの排水がどの程度の影響を及ぼしているかは、はっきりしませんが、法定検査の結果などから見て浄化槽の滅菌機能の低下が大腸菌群数の環境基準達成率の低下に大きく影響しているものと推定されます。
このようなことから、会員各位におかれましては、浄化槽の適切な維持管理に努めるとともに、維持管理を委託していない設置者に対し、積極的にアプローチして委託するよう勧めていただきたいと思います。
また、維持管理を適切に実施していることの証明のためにも、協会による法定検査を受けるようにしていただきたいと思います。
同じ身内だから不適事項を指摘しないでほしいという気持ちもわからないではありませんが、それではいつまでたっても維持管理技術の向上は望めません。
自信を持って検査を受けることのできる体制作りや、技術の向上を図ることが大切なのではないでしょうか。
公共下水道の整備に伴い、汲取し尿の量は漸減するものと推定されますが、浄化槽の設置基数は今後も増加するものと見られておりますので、会員各位におかれましては、適切な維持管理に努められ、浄化槽排水が河川の水質汚濁の原因であるなどといわれないようお願いいたします。