新年を迎えて

岩手県浄化槽検査センター
検査委員会委員長 伊澤 昌弘


 新しい年を迎えられた皆様に心からのお祝いを申し上げますと共に、日頃から当検査センターの業務に対してご理解とご協力を頂いていることに感謝を申し上げます。
 昨年は岩手県内における浄化槽行政にとって大変大きな動きがありました。
 それは、昭和47年以来、県が管理する県道等の『道路の側溝』へ浄化槽からの放流水の放流を禁止していたものが、一定の条件はあるものの「小型合併浄化槽」からの放流が出来るようになりました。
 ここに至るまでには、浄化槽に関係する多くの方々が大変な努力を重ね、土木部をはじめとする県の担当部局の理解を頂いて実現したものですが、私は岩手県が道路側溝へ浄化槽の放流を禁止してきたことは、当時の浄化槽の浄化機能を考えれば、大変意義のあることであったと考えております。
 昭和47年以前に設置された浄化槽のほとんどが『単独浄化槽』で『平面酸化方式』や『全ばっき方式』等の大変管理の難しいものが主流を占めており、傾斜の少ない道路側溝に放流された水が滞留し、悪臭を放っている箇所が随所に見られました。道路側溝への放流を禁止したことにより新たな苦情の発生は少なくなったものの、浄化槽の設置を望んでも放流先を確保出来ないことから、他県に比べて極端に少ない設置基数にとどまっている一因になっていたものと考えられます。その結果として、平成8年度末の県内の浄化槽設置総数は、2万6千基を越えているものの、全国の都道府県で一番少ない状況となっていますが、合併浄化槽への補助事業が定着してきたこともあり、岩手県における浄化槽の設置基数のうちで合併浄化槽の占める割合はここ数年大幅に増加しており、平成8年度では90.3%で全国第3位となっています。
 このように岩手における浄化槽の設置基数は総数で全国的に見て少ないものの、下水道の整備が中々進まない状況の中では、都市中小河川の汚濁防止のためにも更に合併浄化槽の設置が必要となっており、単独浄化槽の放流水を県道等の側溝から締め出してきたことが『浄化槽』に対する県民の理解を得ることにつながっているものと考えられます。
 私どもは浄化槽法に基づいて、浄化槽の機能を適正に保ち、放流水による環境汚染を未然に防ぐことを目的に、浄化槽を設置している方々のご理解を頂きながら計画的に、法定検査を実施しているわけですが、岩手の清流を後世に伝えるためにも、設置されている浄化槽のすべてについて『法定検査』を実施する必要があるものと考えております。
 今年も県委員会として皆さんの付託に応えるために努力している事をお誓い申し上げて新年のご挨拶といたします。