岩手の浄化槽行政

岩手県生活環境部環境保全課
簗田 幸


 私はこの4月に環境保全課の廃棄物対策監として浄化槽行政を担当することになりました。以前にも、1986年から89年にかけて生活衛生薬務課で環境整備を担当しており、当時、浄化槽といえば殆ど単独処理のものを指し、合併処理浄化槽は特に合併をつけて言う時代でした。
 1987年度に国の補助制度(合併処理浄化槽設置整備事業)ができ、本県では88年に89年度の当初予算で県費補助を要求したのですが、ゼロ査定だったため知事復活をかけ、当時の田中環境保健部長と折笠総務部長が知事の前で合併処理浄化槽論議に白熱したことが昨日のように思い出されます。
 国では、各省庁において生活排水の適正処理による水質汚濁の低減が取り組まれておりますが、本県では平成6年度に策定された「全県域汚水適正処理構想」(10年度に新・全県域汚水適正処理構想を策定)により、快適で衛生的な生活を営み、明るく住みよい環境づくりを進めるため、下水道等とともに合併処理浄化槽は汚水の適正処理施設として、その整備が進められてきております。
 また、合併処理浄化槽は8月に策定される県の新しい総合計画や9月に策定される環境基本計画の中で、岩手のすばらしい水環境を保全するための水質浄化施設として位置づけられ、今後、その役割が益々期待されております。
 厚生省では今、単独処理浄化槽の新設廃止、合併処理浄化槽の整備推進に積極的に取り組んでおり、新設浄化槽に占める合併の割合は、全国平均で1989年に10%であったものが、1998年には48.7%となっております。本県の新設率は1998年に96%と、長野県(99.5%)には及ばないものの、京都を抜いて第2位に躍進しており、非常に喜ばしいことと思っております。
 このように合併処理浄化槽の整備は順調に進展してきておりますが、これから取り組むべき本県の浄化槽行政の方向としては、特に、浄化槽法第7条検査と11条検査の受検率の向上であり、また、下水道や農(漁)業集落排水施設と比較して、点検、検査、清掃等の年間維持費用が多くかかることに対する支援をどうするかであると考えております。
 これらの解決に向けた推進役として、これまでの取り組みがさらに前進するよう一層努力していきたいと考えております。
 本県の広大な地域を汚水適正処理施設により水洗化100%を達成する為には、必要不可欠な上、最も重要なキーポイントになるのが合併処理浄化槽であると確信しておりますので、これからも、「みず」の読者をはじめとする関係者の皆様には、浄化槽行政に対するさらなるご支援とご協力をお願いいたします。