浄化槽業務に関わって

岩手県一関保健所大東支所 
 久根崎菜穂子


 本年度から一関保健所大東支所で浄化槽事務を担当することになりました(浄化槽業務初体験です)。
 岩手県浄化槽検査センターの皆様には、日頃から私どもの業務にご協力いただき本当にありがとうございます。
 大東支所は東磐井郡6町村を所管しております。当管内は汚水処理の整備率に関して申せば県平均を下まわっており、今まさに普及期を迎えているところです。殊に浄化槽の設置については、各町村においても積極的に推進して、建築確認・設置届の事務だけで申せば近年は毎年約300件以上になっております。
 設置届の書類をあーでもない、こーでもないと見ながら、また、浄化槽検査センターからお知らせいただく法定検査の結果への対応をしながら、さらに町村からの要請により設置者への講習会へ講師?としてウンチくを申しながら、私が感じたことをそのまま記していきたいと思います。ついては、支障がある表現は黒塗りしていただければと思います。
 まずトイレに関する記憶等について・・・自分の家が水洗化されたのは確か大学生になるかならない頃。それまで、普通の汲取り便所(和式)→泡洗トイレ(汲取りだけど、便器は洋式に)→水洗トイレ(洋式便器、現在に至る)と自宅のトイレは変遷していきました。祖父の家で暮らしていたころ、祖父が冬になると畑に屎尿を撒いて、そのため畑の雪が茶色になってしまって遊べなくなったとボヤいてたことを覚えてます。あれって今なら悪臭苦情で保健所に電話来るだろうなぁ・・・自分の中ではいつの間にか水洗トイレが当たり前になり、転勤の度に住まいは水洗トイレがある所を優先的に選んできました。

 浄化槽の設置推進のパンフレットを読んでいると浄化槽の設置によるメリットとして、
①家庭排水の浄化による環境への負荷の低減。②生活の快適化。この2大メッリトを挙げています。ただ、このメリットはただし書きが必要ですよね。正しいあるいは適正な使用、維持管理をすれば・・という。
浄化槽業務の担当になって、この「維持していく」ということの難さを感じることがあります。法定検査の結果に対し、浄化槽検査センターと保守点検業者さんのご助力おかげで即時に改善されるケースも多い状況なのですが、それでも管理者へ助言をする場合、 「はぁぁ??」と言われることがしばしば。確かに高齢のおじいちゃんおばあちゃんに言ってもチンプンカンプンだろうなぁと、言っている自分もそう思いますね。結局「浄化槽の調子悪いみだいだがら、業者さんにみてもらってね。」くらいしか言えない状況です。今後さらに高齢化が進んでいくと同様の事例が増えていくのかなぁとかなり不安です。これはもう、保守点検業者の方の協力が不可欠になります。維持管理に関して管理者とコミュニケーションを密にしていくような方向に持っていってもらえればと願うところです。
 水洗化率で評価されてしまう地域の快適度、都会度?浄化槽は岩手のような地理的条件の地域の場合、汚水処理施設の整備率をあげるための重要なファクターを占めていると思います。反面、一個人が維持管理をしていかなければならず公共下水道とは違った困難さを背後に抱えているような感があります。そのリスクにいかに対処していくべきか?
 次年度から汚水整備に係る補助業務事務が出先でも一元化される予定と聞き及んでおります。保健所は浄化槽設置推進派から一歩下がって、本業の衛生的立場でもって浄化槽を見ることになるのかな?
 今後排出水に対する水質基準の適用化等規制が強化されていきます。それに円滑に対応していくためにも、保健所のみならず、市町村、保守管理点検業者及び法定検査機関との連携がますます重要になると感じておりますので、今後とも保健所へのご協力と未熟な私へのご指導方よろしくお願いします。