「浄化槽放流水の地下浸透に関する指導要領について」

県南広域振興局保健福祉環境部
環境課長 松本 実 


  新年明けましておめでとうございます。
 社団法人岩手県浄化槽協会及び会員の皆様には、日頃から多大なご協力を賜り深く感謝申し上げます。
 10年ぶりに浄化槽の現場に戻ってきました。この間の浄化槽の性能向上には驚かされるものがありますが、十分な性能発揮に皆様方のご尽力が欠くべからざるものということは変わっていないのは言うまでもありません。今後とも維持管理技術の向上等についてよろしくお願いいたします。
 さて、平成20年4月に「浄化槽放流水の地下浸透に関する指導要領」が策定されたところですが、その事務に携わった経緯から、その内容について簡単にご説明したいと思います。
1 経緯
 浄化槽の放流水は公共用水域に放流されることを原則としていますが、放流先が確保できない場合に、例外として地下浸透させることも可能とされています。
しかしながら、放流水が支障なく浸透するのか判断が難しいことや、浄化槽や付帯設備にどのような能力を要求するかといった指導に当たっての考え方が示されていなかったことから、本県においては地下浸透方式がほとんど設置できないという状況にありました。
 このようななか、岩手県合併処理浄化槽普及促進協議会(会長宮古市長)から、浄化槽の普及を図るためには放流先が確保できない地域について配慮する必要があり、他県で認めている「地下浸透方式」を本県でも認めて欲しいとの要望が提出されました。
また、「放流先が確保できないことから浄化槽が設置できず水洗化をあきらめている事例がある。他県では良いのに岩手県ではなぜ認められないのか。」とのご意見を度々頂戴してもおりました。
 このようなことから、法改正等により見直しを検討していた「浄化槽事務取扱要領」の改正と併せて平成19年度内にルールを作ろうということになり、資源循環推進課、建築住宅課、下水環境課の浄化槽関係課で検討協議し指導基準として取りまとめました。
 なお、検討に当たって県内に参考となる事例が少なかったことから、東京都、埼玉県、北海道、山形県、福島県の基準を参考に本県の状況等を踏まえ浄化槽等の条件、地下浸透可能な土地等の条件を設定しました。
 ところで、本要領は県の指導要領という性格上、適用範囲は県の機関(保健所及び県の建築主事)となりますが、浄化槽に関する権限が移譲されている市町村においてこの指導要領を準用しているところもありますので、具体的にはそれぞれの市町村や保健所等にご確認ください。

2 指導要領の概要

(1) 浄化槽等の条件
この指導要領では、設置基数が最も多い個人住宅を対象とし、10人槽以下のものに限定しました。
また、浸透装置、浸透ます等の目詰まり及び「亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素」の環境基準を考慮してBOD10mg/l以下、T-N 10mg/l以下の処理能力を有するものとしました。
また、当然のことながら放流水を浸透させるための土壌浸透装置、浸透ます等を付加することを条件としております。
(2) 土地の条件  
土地の条件として、浄化槽の放流水を水路等に連結することが著しく困難な地域であって、透水性に支障がない場所とし、飲用井戸等との距離も設定しました。
 なお、水路等に連結することが著しく困難な地域の例としては、放流同意が得られない場合や放流可能な場所まで相当な距離があり管渠の敷設に多額な経費を必要とする場合を想定しています。
  また、盛土後1年以上経過していること、地盤傾斜地でないこと、日照、通風が良好であること、適度な透水性を持ち、かつ、地下水脈に短絡していないことを条件としました。
さらに、飲用井戸への影響を考慮に入れ、土壌浸透装置又は浸透ます等からの距離として、飲用井戸等の水源までを30m以上、隣地境界及び建築物まで1.5m以上確保することとしました。
(3) 事前協議
地下浸透を行おうとする場合は、(1)、(2)に示した条件に適合するか判断するために、予め保健所に協議していただくこととなっています。具体的には、設置者が指導要領に適合した浄化槽等であること及び地下浸透が可能な土地であることを書面で説明し、保健所の指導を受け、条件に合致する場合に浄化槽の設置届又は建築確認申請に進むという流れとなっています。
事前協議に当たっては、関係図面、写真のほか、放流先を確保できないことを説明する書類、飲用井戸等確認報告書、地下浸透が可能な土地であることを証する資料を添付していただくことになっています。併せて、放流水を地下浸透する場合、目詰まりの発生が危惧されることから、設置後の土壌浸透装置、浸透ます等の維持管理を適正に行っていただくことを確認していただくために誓約書を提出していただくことになっています。
 上記が要領の概要ですが、10月時点で既に7基が事前協議を終了しているとのことです。この要領により、放流先が確保できずこれまで水洗化をあきらめていた地域において浄化槽の設置が進むことを期待するところです。