「浄化槽行政を担当して思うこと」

奥州保健所 環境衛生課
技師 佐藤 鈴子


日頃より、社団法人岩手県浄化槽協会及び会員の皆様には多大なる御協力を頂き、感謝申し上げます。この度は、会報「みず」に寄稿する機会を頂きましてありがとうございます。

 1.浄化槽行政を担当して

私が浄化槽業務を担当するのは、今年で通算4年目になります。お恥ずかしい話ですが、この仕事に就くまでは浄化槽の存在すら知らず、どのような仕組みで汚水処理をしているのか認識したのも、浄化槽の担当になってからというお粗末な状態からのスタートでした。
担当になった年のことだったと思いますが、浄化槽設置届時や建築確認時に提出される図面を見るよりも、まず浄化槽そのものを見て知る方が良いという話になり、実際の11条検査を勉強させて頂いたことがありました。浄化槽検査センターの検査員さんに丸1日同行させて頂いたのですが、何の手助けにもならない私を連れて、何ヶ所もの浄化槽を回るのは随分とお邪魔だったのではないかなと思います。しかし、センターの検査員さんは嫌な顔ひとつせず、検査における数値の意味、浄化槽の構造的な説明など色々なことを教えてくださいました。
また、最初の頃は、設置届を提出にいらっしゃる保守点検業者の方に、図面を見ながら色々教えて頂いたこともありました。私たち保健所の職員が浄化槽そのものを見る機会はさほど多くないので、やはり日頃から浄化槽を見ておられる浄化槽管理士の皆様に教えて頂く情報というのは、浄化槽業務を担当する者にとって貴重なものです。
こういった経験から、今、何とか浄化槽業務を遂行できているのも、先輩諸氏のご指導のおかげだけではなく、岩手県浄化槽協会の皆様や会員の皆様あってこそだと思っております。

 2.管内浄化槽の維持管理状況について

私の勤務する奥州保健所の管轄は、奥州市と金ケ崎町の1市1町です。しかし、浄化槽業務については奥州市に事務委譲しておりますので、実際に設置届の審査を行ったり、維持管理指導を行うのは金ケ崎町内の浄化槽のみということになります。
昨年度、県下水環境課主催で浄化槽行政関係者を対象とした研修に際して、奥州市下水道課のご協力により集計した管内の法定検査結果によると、管内における11条検査結果(平成20年度)のうち、「適正」約78%、「おおむね適正」約20%、「不適正」約2%と判定されていたことがわかります。「不適正」約2%を多いと見るかどうかは観点によって変わるものと思いますが、不適正判定の主な原因を見ると、「ブロア停止によるBOD値の目標数値超過」「消毒剤が無くなっている」など、適切な維持管理を行っていれば回避できるものの割合が高くなっています。
不適正判定の浄化槽については保健所等による維持管理指導の対象となるのはご存知のとおりですが、保健所で持ち合わせている情報だけで適切な維持管理がなされるよう指導を継続することは困難です。今後とも、浄化槽協会の皆様や会員の皆様にご協力頂きながら、全ての浄化槽に適切な管理がなされる日が来るよう頑張って行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。