「浄化槽と災害について」

岩手県環境生活部資源循環推進課
技師 沖田 潤一郎

 

 社団法人岩手県浄化槽協会及び会員の皆様には、日ごろより本県の浄化槽行政の推進について、御理解、御協力をいただき厚く御礼申し上げます。
 また、この度は貴会報に寄稿する機会をいただき、ありがとうございます。
 昨年3月11日に発生した東日本大震災津波では貴協会会員の方を含む県民の皆様に甚大な被害が生じましたこと、心より御見舞い申し上げます。
また、浄化槽についても多大な被害が生じていることから、今回は浄化槽と災害を巡る制度等について触れさせていただきます。


1 災害等廃棄物処理事業及び廃棄物処理施設災害復旧事業について
 市町村等が実施する災害関連事業のうち、災害等廃棄物の処理及び廃棄物処理施設の復旧について、環境省では、「災害等廃棄物処理事業」及び「廃棄物処理施設災害復旧事業」により支援を行っています。
(1)災害等廃棄物処理事業
 この国庫補助制度の対象となる事業は、①災害その他の事由のために実施した生活環境の保全上特に必要とされる廃棄物の収集、運搬及び処分に係る事業、②特に必要と認めた仮設便所、集団避難所等により排出されたし尿の収集、運搬及び処分に係る事業であって、災害救助法に基づく避難所の開設期間内のものであり、昨今盛んに報道されている、いわゆる「災害廃棄物」=「がれき」の処理に要する経費などが該当します。
 なお、今回の東日本大震災津波の被害が甚大かつ広範囲に及んでいることから、特例措置が設けられています。その内容の一部を紹介すると、①通常、本国庫補助の補助率は1/2ですが、今回は岩手県などの被害が大きかった地域では、対象市町村の標準税収に対する災害等廃棄物処理事業費に応じ補助率が50/100~90/100になる、かつ残りについてもほぼ国による負担となった、②便槽内の汲み取りする必要が生じたし尿について、通常、維持分の1/2は対象外ですが、今回は全量が対象と認められた、③被災した建築物の解体費や建築物と一体として撤去された浄化槽の撤去処理費が対象と認められた、などが挙げられます。
 沿岸部において生じた災害廃棄物は435万t(岩手県内で生じる一般廃棄物の約9年分)という膨大な量であり、その処理が喫緊の課題となっていることから、現在、岩手県では全力で処理の推進に取り組んでいるところです。
(2)廃棄物処理施設災害復旧事業
 この国庫補助制度の対象となる事業は、災害により被害を受けた廃棄物処理施設を原形に復旧する事業及び災害により被害を受けた廃棄物処理施設を原形に復旧することが著しく困難又は不適当な場合においてこれに代わるべき必要な施設を復旧する事業です。また、ここでいう廃棄物処理施設とは、市町村等が設置した施設で、一般廃棄物処理施設、浄化槽(市町村整備推進事業)、産業廃棄物処理施設などを指します。施設の種類によって足切り額がありますが、いわゆる市町村設置型の浄化槽の復旧に必要な経費で適正と認められるものは本国庫補助の対象となります。
 一般廃棄物処理施設及び浄化槽において被害が生じた岩手県内の市町村等では、本国庫補助制度の活用のための申請を行っています。
 なお、上記(1)と同様の理由から、本国庫補助についても今回補助率の特例が設けられており、通常、本国庫補助の補助率は1/2ですが、同様に補助率が80/100~90/100になり、かつ残りについてもほぼ国による負担となっています。

2 災害時の浄化槽被害等対策マニュアルについて
 環境省では、浄化槽の災害時の緊急対応を明確にし、被害地域の汚水処理システムの迅速な復旧や個別浄化槽の応急措置等に活用するため、平成22年3月に「災害時の浄化槽被害等対策マニュアル」を策定、公開しています。
 本マニュアルについては、貴協会で震災直後に実施していただいた浄化槽被害緊急実態調査などの今回の震災によって得られた知見をもとに、より実務的なマニュアルに改定する予定となっています。

3 被災地の浄化槽と今後の課題について
 今回の災害では、数多くの浄化槽が家屋とともに使用できない状況となりました。現在のところすべての被災浄化槽について確実に把握しているものではありませんが、浄化槽基数の把握は浄化槽行政の基礎となるものであることから、今後岩手県において方法を検討の上実態把握を行っていく考えです。
 また、被災地に設置されている仮設住宅等の仮設建築物では、地上式あるいは半地下式の浄化槽が多くみられます。通常の浄化槽でもそうですが、適切に管理が行われないと機能が十分に発揮できないこととなりかねませんので、よく確認していく必要があると考えています。

 最後になりましたが、災害の発生の有無に関わらず、県民の方に安心して浄化槽を使っていただくためには、貴協会並びに会員の皆様の御協力が必要となりますので、今後とも引き続きよろしくお願いいたします。