「浄化槽をとりまく昨今の所感」

岩手県環境生活部資源循環推進課
総括課長 大泉 善資


 新年、あけましておめでとうございます。
 社団法人岩手県浄化槽協会の皆様には、日頃、浄化槽の適正な維持管理等に御尽力を賜り、深く感謝を申し上げます。
 特に、東日本大震災津波後には、浄化槽に関わる課題が発生するなかで、速やかな現地調査や対応策検討をされるなど、  
被災地での汚水処理の適正化に精力的に取り組んでいただいところです。
 被災地での浄化槽の維持管理につきましては、今後も新たな課題が発生する可能性があり、当課も適正な維持管理の確保に向けた取り組みを進めてまいりますので、引き続き御協力をお願いします。
 この度は会報「みず」への寄稿の機会をいただきましたので、久しぶりに浄化槽行政に携わって感じたことなどを記したいと思います。
 東日本大震災津波後に、沿岸部の被災地では被災者の方々のため仮設住宅が短期間に建設されましたが、用地不足等から水道の給水区域外に建設され、自家用水源が必要となる場合がありました。なかには、水源(井戸)が浄化槽の放流先に近く放流水による影響が懸念される計画もありましたので、衛生の
確保の観点から、仮設住宅の建設に関わる方々に対しては、計画段階で必要に応じて保健所に相談するよう助言がなされました。
 また、そのような建設地では、浄化槽処理水の放流先水路の確保が課題となる場合もあり、流水量が少ない水路に放流したために悪臭苦情が発生し、事後対策が必要となった例もありました。浄化槽の性能が向上し信頼感が増していることは喜ばしいことですが、処理目標水質のレベルが、BODで通常の河川水の数十倍から百倍のレベルであり、放流先での希釈が必要であることなどが、まだまだ十分に理解されていないように思われました。
 また、平成23年度の県内での浄化槽の新設基数は、仮設住宅への設置が大きく影響し、平成22年度の新設基数を986基上回り2,550基となりました。今後、仮設住宅への入居状況が、その統廃合や集落移転事業の進捗等により短期間に激変することが予想されますので、浄化槽の維持管理に携わる皆様には、仮設住宅の管理者と入居動向の情報共有に努めていただき、適正な維持管理をされるようお願いします。
 また、本県の浄化槽の法定検査についてですが、11条検査について申しますと、平成22年度には85.7%と全国的には宮城県(92.4%)に次いで高い位置にありますが、さらに受検率を向上させるため、未受検に至る背景等を分析する必要があります。そこで、浄化槽の設置基数の正確な把握が必要となりますので、現在東日本大震災津波で被災した浄化槽の把握と台帳抹消を進めているところです。
 この11条検査の受検率の最近の推移をみますと、平成22年度の受検率は平成20年度及び21年度のそれを2%程度下回る結果となっています。これがどのような理由によるものなのかにつきましても早急に分析が必要と思われますので、貴協会の皆様からも御助言をいただければ幸いです。
 さらに、県の環境担当職員についてですが、ここ数年で急激に世代交代が進みましたので、県では環境職員人材育成計画を定め、関係課が連携して関連分野の研修を実施しているところです。一方で、本県では浄化槽の法定検査制度が有効に機能していることや廃棄物適正処理指導・地球温暖化対策等の業務が増加していることなどから、浄化槽への立入検査等の業務比率が低下しております。こうしたことから、若手の環境担当職員への浄化槽技術研修を、豊富な知見、技術力を有する貴協会の御協力をいただき実施しており、おかげさまで有益で受講者の満足度も高い研修となっております。これを機会に関係職員がさらに研鑽し、貴協会の皆様とも連携して浄化槽の適正な維持管理が一層推進されることを期待しています。