「年頭の御挨拶」

岩手県知事
達増 拓也


 年頭に当たり、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
 公益社団法人岩手県浄化槽協会及び会員の皆様におかれましては、日頃から、浄化槽の普及促進や適正な維持管理など、浄化槽行政全般にわたり多大なる御支援、御協力を賜り、心から御礼を申し上げます。
 また、東日本大震災津波から4度目の新年を迎えましたが、被災地では住宅の再建、まちの再生、産業の復興などの取組が着実に進められております。その中にあって、早急に整備が可能な浄化槽は被災各地で採用され、汚水処理に当たって重要な位置を占めております。貴会及び貴会員の皆様におかれましては、被災地の浄化槽の適正な維持管理と周辺環境の保全等に御尽力されていることについて、改めて感謝申し上げます。
 県では、昨年度『東日本大震災津波復興計画』第2期計画を策定し、「被災者一人ひとりが、安心して生活を営むことができ、将来にわたって持続可能な地域社会の構築をめざす『本格復興』」を取組方向として復興の取組を強力に推進しております。加えて、まちづくりや農林水産業、商工観光業の振興を通じ、地域経済の回復などの取組を重点的に進めているところです。
 汚水処理に関しては、県は「いわて汚水処理ビジョン2010」を策定し、平成30年度までに水洗化人口割合を77%とすべく、汚水処理施設の整備を促進しております。平成25年度末現在、水洗化の整備手法として浄化槽を利用している人口割合は13.6%となっており、農山漁村地域を多く抱える本県にとって、重要な役割を担っております。更には、昨年1月には環境省をはじめ関係省庁から『持続的な汚水処理システム構築に向けた都道府県構想策定マニュアル』が示され、今後10年程度を目途に汚水処理システムを概成する目標が掲げられました。県では現在、市町村と協議をしながら、目標達成に向けて本県の計画策定を進めていますが、この目標達成のためには浄化槽の整備促進が必要であり、浄化槽の果たす役割はますます重要になってくるものと考えております。
 貴会では、浄化槽法に基づく法定検査、調査研究などを中心に浄化槽の普及啓発、適正な管理に向けた様々な活動を展開しております。特に、浄化槽法第11条に基づく法定検査率は約9割であり、全国的にも優れた実績であることに加え、法定検査で得られた様々な水質分析結果や維持管理の状況を踏まえた知見を検証し、浄化槽の適正な維持管理に向けて県に提言をいただいているところです。昨年度は、その提言を踏まえ、初めて、貴会との共催で浄化槽保守点検業者を対象とした専門技術研修を開催することができました。今後とも、浄化槽を取り巻く様々な課題に積極的に取り組み、良質な生活環境の確保に向けて一層御活躍されることを心から御期待申し上げます。
 農山漁村地域を多く抱える本県にとって、浄化槽は重要な汚水処理施設であり、今後も市町村と連携して整備促進を図るとともに、貴会と連携して適正な維持管理を確保していきたいと考えておりますので、貴会及び貴会員の皆様には、なお一層の御協力、御支援を賜りますようお願いいたします。
 結びに、貴会及び貴会員の皆様のますますの御発展と御多幸をお祈り申し上げ、新年の挨拶といたします。