検査員のつぶやき


 新年あけましておめでとうございます。今年年男になる検査員の佐藤です。
 暖冬とはいえ本州一寒い県と言われるだけあって、夜から朝にかけての冷え込みは厳しいものがあります。なかなか布団という天国から抜け出せないですね。
 しかし、冬も悪いことだけではありません。雪山でウィンタースポーツ、温泉に浸かって熱燗を一杯もいいですが、今回は天体観測についてつぶやいてみます。
 というのも、冬は天体観測に適した季節なんです。気候的な理由として、日没が早いので太陽の影響(残照という)が残らないことと、空気が乾燥することで大気中の水分が、偏西風の影響で大気中の塵や埃が少なくなるので澄んだ空気になるからだそうです。
 また、天文学的には一等星の数が多いため、夜空が豪華(?)なことが大きな理由です。全天で21個、そのうち日本で容易に見える一等星は15個あるのですが、冬だけで約半分にあたる7個の一等星を見ることができるんです。では、その7個の一等星を中心に冬の星座を簡単に紹介したいと思います。

 まず南の空を見上げてひときわ目立つのが真ん中に3連の星それを囲む4つの星で構成されるオリオン座です。一等星2つと二等星5つを持つこの星座は誰もが見たことあるでしょう。
 左上で赤く輝く星がベテルギウス、右下で青く輝く星がリゲルです。対照的なこの2つの星は日本では平家星、源氏星とも呼ばれています。
 この色の違いは何かというと、恒星にも一生があり、基本的に若い恒星ほど表面温度が高いため青白く、年老いてくると巨大化して表面温度が下がるため赤くなっていきます。そして、質量の大きい星は最後に爆発を起こして一生を終えるのです。
 ベテルギウスは太陽の約1000倍(!)もの大きさでほぼ寿命が尽きかけており、間もなく超新星爆発を起こすだろうと言われております。是非生きているうちに歴史的瞬間に立ち会いたいものです。

 そのオリオン座の左下で白く輝く星がおおいぬ座シリウスです。地球からわずか8光年しか離れていないシリウスは全天中一番明るい恒星になります。そして、おおいぬ座の左上にはこいぬ座プロキオンが輝いて見えます。この2つの星とベテルギウスを結ぶ三角形が冬の大三角形と呼ばれています。
 さて、もう一度オリオン座に戻り右上の方を見てみるとオレンジ色に光る星が見えますが、これはおうし座アルデバランです。星占いでは春の星座と思われがちですが、れっきとした冬の星座です。ちなみにおうし座にはプレアデス星団、日本でいう昴があります。アルデバランのさらに右上の方で、肉眼でも観察できるので探してみてください。

 プロキオンの上方に目をやると、ふたご座カストルポルックスが並んで見えます。ギリシャ神話では上に見えるのが兄カストル、下が弟ポルックスとなります。ほぼ同じ明るさですが、カストルの方が少し暗いために、ポルックスが1等星、カストルが2等星となっています。わずかな差で弟の方が1等星というのも興味深いですね。
 最後にポルックス、アルデバランよりさらに上、ほぼ真上に見える黄色い星がぎょしゃ座カペラです。ここで面白い話ですが、ぎょしゃとは馬車を操縦する人のことです。しかし、星座に描かれる絵は山羊を抱いたおじいさんの絵となっており、星座名と絵が一致していません。これは、星座名はギリシャ神話に基づいており、星座絵はさらに古い古代バビロニア時代の絵が残されたためという説があります。

 余談ですが、冬の一等星にはりゅうこつ座カノープスもあります。シリウスに次ぐ2番目に明るい星でありながら、東北地方南部より北では見えず、東京、京都でも地平線スレスレの位置で非常に見えにくい星です。シリウスの下の方になるので、南に出かけた際には、是非幻(?)の8個目の一等星を探してみてください。

 いかがでしたでしょうか。これらの星座、恒星はほんの一部で、宇宙にはまだ星雲、銀河など無数の天体が散らばっています。このつぶやきで少しでも興味を持ってもらえたのなら幸いです。
 かの名曲ではないですが、見上げてみませんか、夜の星を・・・(もちろん防寒対策は万全に!)

 

主任検査員 佐藤 武紘