「浄化槽の担当者になって」

岩手県環境生活部 資源循環推進課
主任  藤原 由希



1 はじめに
 公益社団法人岩手県浄化槽協会及び会員の皆様には、日頃から浄化槽の普及啓発、適正な維持管理にご尽力を賜り、深く感謝申し上げます。
また、コロナ禍において、浄化槽関連事業者は、「国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者」に位置付けられ、県内でも感染者が確認されている状況の中、感染防止策を講じつつ事業の継続実施に取り組まれていることに、重ねて感謝申し上げます。
 この度は、会報「みず」への寄稿の機会をいただきましたので、僭越ながら浄化槽担当者になって感じたことや、昨年施行された改正浄化槽法に関することをお伝えしたいと思います。
 
  2 私と浄化槽
 私が浄化槽を知ったのは、県職員として初めて配属された、大船渡保健所でした。それまで身近に浄化槽が無く、下水道に接続されていない住宅は、全て汲み取りで、生活排水は河川にそのまま放流されていると思っていました。というのも、下水道が整備された街で育ったからではなく、私が育った地域は、大半が自家水道、汲み取りが普通の地域であったからです。生活排水がそのまま河川に入るため、合成洗剤の使用を控えるなど、できる限り環境に負荷をかけない取組が各家庭で行われていましたが、浄化槽の設置は進んでいませんでした。保健所での勤務で、県内には多くの浄化槽が設置されていることを知り、私の育った地域にも浄化槽がもっと普及しないものか、と感じたことを覚えています。
 
  3 浄化槽法の改正
 現在の業務では、改正浄化槽法への対応や、保健所、関係課等との調整などを行っております。昨年4月より改正浄化槽法が施行されておりますが、貴協会及び会員の皆様には、「浄化槽保守点検業の登録に関し、浄化槽管理士の研修の機会の確保」が追加されたことが、大きな変更点かと思います。
 県では、浄化槽法の改正を受け、浄化槽法施行条例を改正し、「浄化槽保守点検業者は、その登録期間内に1回以上、営業所に置く浄化槽管理士に浄化槽管理士研修を受けさせなければならない」こととしました。この規程は、「令和3年4月1日以降に登録の有効期間が満了する保守点検業者が対象」となります。
 昨年11月には、貴協会主催による、「浄化槽管理士研修」が開催され、多くの浄化槽管理士に参加いただきました。コロナ禍の中、貴協会の皆様の御尽力により、本県初の研修会が無事に開催されましたことに、心より感謝申し上げます。  研修の受講結果については、毎年6月30日までに、前年度に浄化槽管理士研修を受講した浄化槽管理士について、所管保健所長に報告する必要がありますので、よろしくお願いいたします。
 また、今回の浄化槽法改正により、「行政による浄化槽台帳の整備」が義務付けられました。本県では、既に浄化槽台帳を整備しておりますが、台帳への記載事項として、保守点検及び清掃の実施状況の記載が求められております。現台帳には記載されていない事項であるため、記載方法について、現在検討を行っております。貴協会及び会員の皆様へ、今後情報提供をお願いする場合がございますので、何卒御協力いただきますようお願いいたします。
 
  4 おわりに
岩手県では、汚水処理施設の普及のため、今後も浄化槽の設置が進められる見込みとなっております。浄化槽の構造が複雑かつ多様化する中、浄化槽の水質の確保や適正な維持管理のためには、今後とも貴協会の皆様との連携が重要と考えておりますので、より一層の御支援と御協力をお願いいたします。