「浄化槽業務を通じて」

岩手県二戸保健所
技師  箱石 義昌



 1 はじめに
 公益社団法人岩手県浄化槽協会及び会員の皆様には、日頃より浄化槽の普及啓発及び適正な維持管理に御尽力を賜り、心から感謝申し上げます。また、この度は会報「みず」に寄稿する機会をいただき、ありがとうございます。
 浄化槽行政を担当して2年目と経験が浅いですが、業務を通じて感じたことを記させていただきます。
 
 2 浄化槽に対して思うこと
 昔のトイレを思い出すと実家にあるトイレは、汲み取り式便所でした。用を足すにも、臭いがきついため呼吸を止め、自分が便槽に落ちてしまうかもしれない恐怖等を感じていたことを思い出します。
 母方の実家に遊びに行った際に、水洗トイレであることやよくわからないボタンが付いていることに衝撃を受けました。そこで初めてウォシュレットを使用しましたが、トイレが快適な空間に変わり、それからというもの、ウォシュレットがないとダメな体に変えられてしまいました。
 浄化槽業務を担当するまで、生活排水全てがバキュームカーで回収されているものと思っていましたが、生活雑排水が河川等に放流されていると知り、衝撃を受けました。
また、浄化槽業務を担当してすぐの頃に、県内には多くの浄化槽が設置されていることを知り、下水道の未普及地域にも浄化槽がもっと普及しないものか、と感じたことを覚えています。
 
 3 浄化槽業務について
 浄化槽は、設置計画が適切か数多くのチェック項目について、建築確認申請や設置届を建築主事及び保健所が審査した後に設置されています。設置後は、浄化槽管理者は維持管理を適切に行うことや、法定検査の受検を義務付けられていますが、知らない管理者もいるようです。
 浄化槽管理者は、浄化槽法に基づき、浄化槽を使用開始してから3ヶ月を経過した日から5か月以内に7条検査、その翌年度以降、年に1回、11条検査を受けなければなりません。また、保守点検及び清掃も必要になります。
 浄化槽は、様々な環境に対応できる便利な排水処理施設である一方で、その機能を十分に発揮するためには、適切な設置と維持管理が必要となるので、不十分な管理者に対しては、設置後の指導が必要不可欠になります。
 本県の法定検査受検率は令和2年度において91.2%(合併浄化槽のみであれば98.6%)と全国的にも高水準です。受験率向上を目指し、今後も設置後の指導等含め、貴協会の皆様の御協力のもと、指導していきたいと思います。
 
 4 おわりに
 広い県土を有する本県において、良好な水環境の保全のためには浄化槽の普及が不可欠です。今後も浄化槽の設置が進められる見込みと思われます。浄化槽の水質の確保や適正な維持管理のためには、今後とも貴協会の皆様との連携が重要と考えておりますので、貴協会及び会員の皆様の御指導、御協力を賜りますようお願い申し上げます。