概要
水中でのアンモニア(アンモニア性窒素が腐敗タンクとほぼ同じ環境で)がサカマキガイやその卵の駆除に効果が高く比較的安全である。そこで安価で入手が容易な硫安(窒素肥料),消石灰を駆除に使用した。
また,壁面の処理には硫酸銅を使用した。
駆除の流れは下記のようになる。
駆除作業1 |
水中(水面下)には硫安を投入,壁面(水面上)には硫酸銅を散布する |
駆除作業2 |
1~2日後に水中のNH4+濃度とpHを測定し低下しすぎている場合(多量の流入により希釈されている可能性が高い)硫安/消石灰を追加 |
駆除作業3 |
5~7日後にも念のため再度駆除作業を行う方がよい |
確認1 |
約2週間後(卵が孵化する頃)サカマキガイが全く見られなければ一応成功 |
確認2 |
1~2ヶ月後サカマキガイが全く見られなければ浄化槽内のサカマキガイはほぼ完全に駆除 |
水中(水面下)の処理
[目的]
サカマキガイの大部分を駆除するのは比較的容易だが,僅かに生き残っているといずれ繁殖してくる。そこで,効果を確実にするためアンモニア濃度とpHを出来るだけ高めに長く保つことが必要。
[薬品の投入量]
・硫安:約0.5kg/m3 (NH4+-Nとして100mg/l以上)
・消石灰:pH8.5を目安(pHが高いほど効果があるので状況により9.0から9.5にするとさらに効果的である)
・現場でのNH4+-Nの濃度の簡易測定には熱帯魚の水槽用の測定器(鈴研ウォーターアナライザーAでもよい)などがある
[投入時期]
・清掃後に行なうのが槽内に薬品を均等に分散できるのでベター(散気等により十分撹拌)。
・さらに可能な場合は放流口を塞ぎ満水とし点検口付近までアンモニアで処理できればベスト(その時間が長いほど効果的,完全に死角も処理できる)。
[留意事項]
・出来るだけ使用していない時間帯に行う。例えば日中不在の住宅であれば朝駆除作業を行うのがよい。
・消石灰は入れすぎるとpHがすぐ10~11となってしまうので慎重に。
・作業時有機酸系の消毒剤は消石灰と反応する危険性があるので注意が必要。
・消化を抑えるためばっ気は最小限に。また,浄化槽流入部(嫌気ろ床槽第1室)から濃度が低下するので汚泥移送用エアーリフトにより出来るだけ濃度を均一化。
水面上の壁面処理
[目的]
水面上の壁面にもサカマキガイやその卵がある可能性があるのでこの部分も処理する必要がある。銅剤は貝には効果があるが卵には効果はない。そこで,硫酸銅を壁面に付着残留することにより孵化した貝を駆除する。
[薬品の投入量]
・硫酸銅(5H2O):約1g/l
・展着剤:適量(均等に散布するため)
[処理方法]
・薬品をハンディタイプの噴霧器(住宅の場合2~3l)に入れ壁面を散布処理する。
その他
・薬品を使用するので放流先等に問題がないか前もって確認する。
・各マスにもサカマキガイが生息していることがあるのでこの部分の処理も必要な場合がある。
・放流先にサカマキガイが生息し浄化槽内に侵入しやすい状況の場合その対策がまず必要。
・硫酸銅以外は全てホームセンターで購入できる。
・薬品類は劇薬もあるので取り扱いに注意。