岩手県環境保健部環境衛生課
及川 広郎
近年、し尿浄化槽は、急速に増加してまいりましたが、一方、その維持管理が不十分なために放流水による公共用水域の水質汚濁や、悪臭等が環境衛生上の問題として取り上げられております。
そのため、国ではし尿浄化槽を適正に維持管理し、良好な生活環境を保全するため、昭和53年8月「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」の一部を改正し、技術管理者の設置が義務づけられていない処理対象人員500人以下のし尿浄化槽について、公的機関による検査制度を導入し、浄化槽の維持管理面の強化を図ったところであります。
この検査制度を導入した目的は、先ほど申し上げました様に増加を続けるし尿浄化槽の維持管理を強化することにより、放流水による公共用水域の汚染や悪臭の防止等を図るほか、県におけるし尿浄化槽監視指導業務の補完的役割をも果たすことをめざすものであります。
本県におきましては、昭和55年3月25日付で社団法人岩手県浄化そう協会が厚生大臣の指定を受け、現在、し尿浄化槽管理者から依頼のあった浄化槽について、検査と評価を行っているところであります。
以下、検査の内容等について簡単にご紹介いたします。
この検査は、し尿浄化槽の管理者の依頼により、当該浄化槽の設置場所において行うものであり、また、その内容は、外観、機能、書類検査を実施することになっております。
外観検査は(1)設置状況(2)破損、不良箇所(3)異物の付着(4)悪臭の発生(5)消毒の実施(6)か、はえ等の発生状況について、一見して明白に、浄化槽に異常が認められるかどうかについてチェックするものであります。
機能検査は、(1)水素イオン濃度(2)汚泥沈澱率(3)溶存酸素量(4)亜硝酸性窒素(5)透視度(6)塩素イオン濃度(7)残留塩素の7項目について測定をし、浄化槽の機能が正常に働いているかどうかをチェックするものであります。書類検査は、前回の清掃及び保守点検の時期を確認するとともに、前回の検査の記録並びにし尿浄化槽清掃業者から交付された点検及び清掃の記録の保存の有無等について検査することになっております。
このような外観、機能、書類の検査結果を基に、し尿浄化槽の維持管理について総合的な判定を下し、維持管理不適正の場合には管理者に対し、より適正な維持管理を助言することになっております。
終りにあたり、浄化そう協会会員並びに浄化槽管理者の各位には、本検査制度に対する認識と理解を深めていただき、今後とも、この検査の履行を通じて県民の生活環境の改善に寄与されますことを切望する次第であります。