岩手県廃棄物対策室
長田 正明
私は、昨年度から浄化槽に係る業務を担当しているが、1年以上たってもどれだけのことを知りえたか我ながら心もとない。そこで今回は、現場の実際に精通している保健所の担当者の真似をしてもしょうがないので、本県の浄化槽を取り巻く現状等の概略について簡単に述べてみることとする。
浄化槽は、比較的廉価かつ短期間に設置することができ、下水道未普及地域における水洗化の手段として、その設置が拡大していることは周知の事実である。本県においても、国庫補助制度の導入とあいまって、設置基数が近年飛躍的に伸びてきている。
まず、表-1のとおり本県の水洗化率は、年々着実に伸びてきているが、未だ全国最低水準である。一方、水洗化人口に占める浄化槽人口の割合が4割近く、浄化槽の役割の重要さがわかる。次に表-2のとおり、年々新設浄化槽の数が増加しているが、数自体は全国的にみても最も少ない。しかし、合併処理浄化槽の割合は平成5年度で86.7%と逆に全国最高水準となっている。次に表-3であるが、平成5年度末の総設置基数は、18,858基と全国でも最下位水準であるが、逆に合併処理浄化槽の割合は35.9%と全国最高水準である。総数的に浄化槽の普及度といった場合、まだまだ低い水準にあるといわざるをえないが、合併処理浄化槽の割合という点では、全国の先導的位置にあるといってよい。非常に好ましい傾向であると思うが、その理由は、本県での浄化槽の本格的設置が小型合併処理浄化槽の普及に軌を一にした形ではじまったこと、合併処理浄化槽の国庫補助制度を積極的に導入していることなどにあるのではないかと思う。次に、法定検査の受検の状況であるが、表-4のように、7条検査ではほぼ同じ率をキープしているが、11条検査では年々設置総数が増加するにつれ、低下の一途をたどっている。いまだ、全国的にみて非常に高い受検率ではあるが、何らかの対応が焦眉の急となっている。次に表-5であるが、国庫補助制度では年々補助基数、補助金額とも増大している。前述のとおり本県の新設浄化槽の大半は合併処理浄化槽であり、かつその大半は補助を受けて設置された合併処理浄化槽であり、国庫補助制度は、本県の浄化槽行政の根幹といっても過言ではない。しかしその一方、補助金予算は非常に厳しい状況となってきており、大いに危機感をもっているが、是非、この好ましい状況に水をささないように頑張っていきたいと思っている。
次に、近年の新しい動向をニ三。既にご存知のことと思うが、今までの補助制度に加え、市町村が合併処理浄化槽を設置し、受益者から使用料を徴収するという新たな事業が厚生省や自治省の事業などとして創設されたことである。本県ではまだ事例はないが、浄化槽を下水道等と肩を並べる恒久的汚水処理施設に格上げしていこうという国の施策の方向性が示されていると思う。また、小型合併処理浄化槽の保守点検記録票及び清掃記録票のモデルが、厚生省浄化槽対策室の監修のもとで作成され、今後はその新たな様式を活用することとされたことである。適正な管理・清掃が浄化槽の信頼醸成に不可欠であることに鑑み、活用に配慮していただきたい。
最後に、既述のように合併処理浄化槽が下水道、農業集落排水施設等と同等の汚水処理施設として位置づけられている今日、浄化槽に携わる者の責務はますます重要さを増しているものである。今後もどうぞご研鑚を重ねられ、県民の浄化槽に対する期待に応えていただくよう切に願うとともに、また、私自身も、一生懸命取り組んでいくことを誓いつつ、稚拙ではありましたが、私の話を終わります。
平成元年 | 平成2年度 | 平成3年度 | 平成4年度 | 平成5年度 | ||
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総人口 | 1,437,779 | 1,435,782 | 1,434,236 | 1,432,995 | 1,433,601 | |
計画処理区域内人口 | 1,428,755 | 1,432,902 | 1,431,377 | 1,430,538 | 1,433,601 | |
水 洗 化 人 口 |
公共下水道 | 171,656 | 188,498 | 206,202 | 225,272 | 250,413 |
コミュニティプラント | 125,868 | 14,127 | 13,889 | 12,078 | 12,315 | |
浄化槽 | 119,402 | 128,911 | 134,026 | 153,418 | ||
計 | 297,524 | 322,027 | 349,002 | 371,376 | 416,146 | |
非水洗化人口 | 1,131,231 | 1,110,875 | 1,082,375 | 1,059,162 | 1,017,455 | |
水洗化率 | 20.8 | 22.5 | 24.4 | 26.0 | 29.0 |
単独処理浄化槽 | 合併処理浄化槽 | 合計 | 合併の割合 | ||||
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平成元年度 | 542 | 467 | 1,009 | 46.3% | |||
2年度 | 441 | 730 | 1,171 | 62.3% | |||
3年度 | 362 | 936 | 1,298 | 72.1% | |||
4年度 | 285 | 1,421 | 1,706 | 83.3% | |||
5年度 | 285 | 1,860 | 2,145 | 86.7% |
区分 | 元年度末 | 2年度末 | 3年度末 | 4年度末 | 5年度末 | |
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単独浄化槽 | 11,891 | 12,126 | 12,087 | 12,097 | 12,085 | |
合併浄化槽 | 1,926 | 2,621 | 3,540 | 4,943 | 6,773 | |
合併の割合 | 14.4% | 17.8% | 22.7% | 29.0% | 35.9% | |
合計 | 13,817 | 14,747 | 15,627 | 17,040 | 18,858 |
検査対象基数 | 検査基数 | 受験率 | ||||
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平成3年度 | 7条 | 1,009 | 758 | 75.1 | ||
11条 | 13,817 | 9,086 | 65.8 | |||
4年度 | 7条 | 1,171 | 980 | 83.7 | ||
11条 | 14,747 | 9,315 | 63.2 | |||
5年度 | 7条 | 1,706 | 1,361 | 79.8 | ||
11条 | 17,040 | 10,746 | 63.1 | |||
6年度 | 7条 | 2,145 | 1,750 | 81.6 | ||
11条 | 18,858 | 10,289 | 54.6 |
年度 | 実施市町村 | 補助基数 | 国庫補助額(千円) | ||
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昭和63年度 | 1 | 8 | 1,149 | ||
平成元年度 | 7 | 86 | 16,334 | ||
2年度 | 15 | 209 | 43,888 | ||
3年度 | 24 | 395 | 87,467 | ||
4年度 | 37 | 710 | 179,000 | ||
5年度 | 49 | 1,326 | 349,074 | ||
6年度 | 49 | 1,359 | 354,508 | ||
実績合計 | 4,093 | 1,031,411 |