岩手県生活環境部環境保全課
技師 川村 裕二
新年あけましておめでとうございます。
私が、現在の環境保全課に転勤になり、もう9ヶ月が過ぎてしまいました。現在の職場に転勤するまでは、保健所で実際に浄化槽の設置届等に伴う審査や、設置後の維持管理の指導を行っており、実際に設置される方や業者の方と1件ごとに異なる浄化槽の設置について、人槽算定やら、浄化槽の設置場所の状況、浄化槽への流入管や浄化槽からの放流管の状況がどうの、ということを毎日ああでもない、こうでもないと思案しながら仕事をしていました。
そもそも、私自身、盛岡保健所に転勤するまでは、浄化槽とはどのようなものかは、よく知らなかったのが事実であります。それまでは、水洗=下水道という認識がありまして、生活排水がどのように処理されているかということは、あまり深く考えたことはありませんでした。しかし、盛岡保健所に転勤になり、最初の年は、公害担当であまり浄化槽について分からなかったのですが、翌年から、その当時の盛岡保健所管内分の浄化槽を係員3名で地区ごとに担当するようになり、それ以来、浄化槽とお付き合いすることとなりました。盛岡保健所では、年間約600基の浄化槽を3分の1づつ担当して浄化槽の審査等を行っていましたが、今、考えるととにかく習うより慣れろという状態で、いろいろなケースの物件が来ていました。おかげで、通常の一般住宅以外のケース等、いろいろと勉強になることがあり、その後、他の保健所に転勤した後でもいろいろと役に立ちました。
さて、現在の私はというと、4月から保健所で行っていた浄化槽の業務から少し角度を変化させて、合併処理浄化槽の補助事業を担当することとなりました。9ヵ月が過ぎて、ようやく補助事業の流れが見えてきたところです。保健所にいると、届出のあった浄化槽のことは、よく分かるのですが、補助事業については、いまひとつわからないところがあったのですが、いざ担当となってみて、なるほどこのようになっていたのかという心境です。
また、これまでは、自分の所属する保健所の管轄分についてだけ留意したのですが、今は、県内全体の状況を把握するとともに、全国における岩手県の状況について、把握しなければなりません。
さて、それでは、このことに関連して、本県の状況は、どのようになっているかというと、平成10年度末における汚水処理施設整備率は43.6%と、全国平均の66.3%を下回っており、その内訳は、公共下水道30.2%、農業集落排水処理施設等4.2%、合併処理浄化槽8.0%、コミュニティプラント1.2%と、全体に占める合併処理浄化槽の割合が公共下水道に次ぐものとなっています。
本県の浄化槽の設置基数は、年々増加の一途をたどっており、平成10年度末においては、30,983基となっています。このうち合併処理浄化槽については、18,555基と全体の59.9%であり、特に処理能力50人槽以下のいわゆる小型合併処理浄化槽は、そのうち15,493基と普及が著しくなっています。また、単独処理浄化槽の設置基数は、ここ数年ほぼ横ばいの状況であります。
合併処理浄化槽の新設率については、厚生省浄化槽対策室が四半期ごとに取りまとめていますが、平成10年度末の状況においては、長野県の99.5%に次いで新設率が96.0%と全国2位となっています。これもひとえに、市町村浄化槽補助事業担当者、浄化槽業者、各保健所浄化槽担当者の皆さんのご尽力の賜物と思っています。
合併処理浄化槽補助事業については、平成11年度までに県内59市町村のうち58市町村が補助事業を行うまでになっており、平成10年度末までの累計で10,517基となっています。
平成10年度末までに設置されている合併処理浄化槽18,555基のうち、補助事業により設置された合併処理浄化槽は10,517基(56.7%)と過半数を超えており、これは補助事業が合併処理浄化槽を普及させるうえで有効なことを物語っています。
さて、本県の状況は、以上のようになっていますが、昨年は、メーカーが単独処理浄化槽の製造を終了し、合併処理浄化槽設置推進への大きな転換期となりました。合併処理浄化槽も、これまでの嫌気ろ床接触ばっ気方式の他に、いわゆるコンパクトタイプと呼ばれるものや、膜ろ過を用いるもの、脱窒素型のものなど、さまざまな合併処理浄化槽が出てきております。
このように、合併処理浄化槽は、2000年においてもますます地域の生活排水対策を推進するうえで期待されており、私も、微力ながらがんばっていきたいと思っています。
最後に、昨年は、(社)岩手県浄化槽協会におかれましても30周年となりましたが、今後とも岩手の環境を保全するため、益々のご発展を祈りまして終わりたいと思います。