環境教育と浄化槽について

岩手県久慈保健所環境課
 技師 中野織恵


 社団法人岩手県浄化槽協会及び会員のみなさまには、日頃からご尽力賜り感謝申し上げます。私は保健所職員になって3年目ですが、この職場で働いて初めて浄化槽というものを知り、協会のみなさまや職場の先輩方に日々ご指導いただいております。
 久慈管内においては、公共下水道等の集合処理施設の整備も徐々に進んできましたが、個別に処理する浄化槽の設置基数も増加しております。その数は平成14年度末で1963基となり、集合住宅地域が少ないことから、この先も設置基数の増加が見込まれます。汚水処理率は増加傾向にあるものの依然として低いことから、生活雑排水による公共用水域の水質への影響が懸念されます。
 みなさんご存知のとおり、浄化槽は、様々な種類の微生物が汚水の中の有機物を分解する力を利用して、汚水を処理しています。浄化トラブルを起こさないよう上手に使うためには、設置者がその仕組みや使用にあたっての留意事項を理解し、微生物が働きやすい条件を整えてやらなければなりません。
 ところで、私の実家では、コミュニティープラントで生活排水を処理しており、その施設は家のすぐ近くにありましたが、小さい頃は「この施設は何だろう。」と不思議に思う程度で、自分の家からの排出水がどのように処理されるのかなど気に留めていませんでした。今の仕事をするようになって、小学校で環境についての講演する機会がありますが、生活雑排水と浄化槽の話を必ずするようにしています。川や海の汚染原因の大部分が生活雑排水、つまり私達が日頃何気なく流している排水の影響を受けていることや浄化槽のしくみについて話すと、「私の家には浄化槽があります!」と元気よく手を挙げる子供もいます。しかし、家庭で浄化槽を使っているにも関わらず、浄化槽がどのような設備なのか知らない子供も大勢いるようです。
 また、子供たちは、自分が住む市町村の環境について知りたいという気持ちが強いのですが、環境問題には国境が無く、地球全体の問題として考え取り組み、地域から行動していかなければならないことを教えています。
 身近な浄化槽を通じて環境問題に興味を持ってもらえるよう、微力ながら環境教育に取り組んでいきたいと思います。また、設置者への使用方法の普及につきましては、協会及び会員の皆様と一緒に進めて参りたいと思いますので、今後もよろしくお願いいたします。