「浄化槽あれこれ」

岩手県環境生活部資源循環推進課
  資源循環担当課長 高橋 正光


 昨年4月に資源循環担当となり浄化槽を含めた仕事を担当しております。
初めて浄化槽を担当したのは昭和53年頃で当時浄化槽は、建築基準法と廃棄物の処理及び清掃に関する法律で対応していました。 まだ、法定検査制度がない時代で、保健所が浄化槽の採水を行いMLLSSや法流水のBOD等を検査していました。 当時の浄化槽は、主に単独処理浄化槽で、平面酸化や散水濾床等腐敗型の処理施設も数多くあり(現在もありますが)今の浄化槽を考えれば大変な違いを感じます。
 岩手県では、昭和55年度から浄化槽法第57条に基づく指定検査機関による、浄化槽法第7条及び第11条に規定するいわゆる「法定検査」が実施されました。検査機関から保健所に検査結果が郵送され、検査員の方々のアドバイスを貴に今と同じように不適正な浄化槽に立入指導を行っていました。
 昭和60年10月に浄化槽法が全面実施され、浄化槽の製造、設置、保守点検、清掃の各段階での必要な規制と浄化槽の携わる者の責任と業務が明確化され、浄化槽工事業及び浄化槽保守点検業の登録制度や浄化槽清掃業の許可制度の設備、更には、浄化槽整備士と浄化槽管理士の国家資格が設けられ、浄化槽の立入のほか、保守点検業の整備の確認のための立入検査を行っていました。
 平成12年6月には、単独処理浄化槽を原則禁止する旨の改正が行われ、平成17年5月には、公共用水域等の水質保全等の観点から、浄化槽のよるし尿及び雑排水の適正な処理を図るために所要の改正が行われたことはご承知のとおりです。
 さて、岩手県の法定検査の実施状況は、7条検査についておおむね100%の受検率になっているものの、11条検査については、平成10年度以降40%台であったものが平成17年度で69%と徐々に向上してきておりました。平成18年度には、(社)岩手県浄化槽協会会営岩手県浄化槽検査センターが11条検査BOD検査を導入したことと検査手順の効率化したことにより85.4%となり全国のトップクラスになったと聞いております。これは、浄化槽検査センターが11条検査の検査手順の効率化することで受験率の向上を図り、更に検査結果を保守点検に反映できる仕組みを構築したものによると思われます。同時に11条検査の実施結果に基づき浄化槽の放流水の水質を改善するために、浄化槽の構造、維持管理に関して行政機関に助言を行う「水質改善提言委員会」を設けております。
 平成18年度は延べ4回開催されコンビニエンストアの浄化槽の人槽算定と維持管理について提言をし、岩手県はそれを受け放流水の水質を改善するために、この3月に各振興局、保健所、関係市町村に通知したところです。
 思いつくまま書きましたが、最後に、浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理と維持管理は、公共用水域等の水質保全を図るために重要であり、今後とも岩手の環境を保全できるよう努めて行きたいと考えております。