検査員のつぶやき


日本人の心と浄化槽について

 今まであまり考えずに過ごしてきたのですが、近年近隣の動きがいろいろ活発になっていくに従い、日本の辿ってきた歴史や、古来の日本人の「心」を知りたいと思うようになってきました。
 岩波書店が発行しているラフカディオ・ハーンの「心」という本があります。イギリス人でのちに小泉八雲として日本に帰化し、「耳なし芳一」などの有名な作品を残した人ですが、先進国イギリスの人にとって当時の日本人の行動はとても魅力的で奇異に写っていたようです。
 当時の日本は日清戦争や近代化の波が押し寄せ、技術の進歩と共に迷信などが廃れていき、同時に古来からの日本人の美徳が徐々に失われていく時代だったようです。
 しかし、失われたとはいえまだまだ日本人の心には脈々とその精神が受け継がれていて、今回の震災でも集団の秩序を優先し個を犠牲にするという行動はそれを証明するものでした。今後も窮地に立たされるほど、日本人はその片鱗を蘚らせることになるでしょうね。
 ところで、浄化槽は日本で独自の発展をとげたものですが、これこそが日本人の特異な美徳がもたらした、外国の人からみるとユニークな装置と言えるのではないでしょうか。
 みなし浄化槽はともかく、今の浄化槽は「使った水をきれいにして自然に返そう」という発想です。
 この発想に多くの人が同意し、今や水洗化の一つの柱を担うまでに成長するという状況は、他国の人からはどうのように映るのでしょうか。多分理解されないような気がします。
 話が堅くなってしまい申し訳ありませんが、日本人は浄化槽を持っていて、近隣諸国に誇れる美徳を持っているのだ!というお話でした。すみません。
 

検査係長 国生 紀