岩手県環境生活部 資源循環推進課
技師 黒澤 結香
1 はじめに
公益社団法人岩手県浄化槽協会及び会員の皆様には、日頃から浄化槽の普及啓発、適正な維持管理に御尽力を賜り、深く感謝申し上げます。
また、本年度、貴協会が設立から50周年を迎えられますこと、心からお祝い申し上げます。岩手県において法定検査受検率が全国トップレベルを維持し、安定した放流水質による浄化槽への信頼感が確保されていることは皆様の50年間の取組の成果であり、重ねて感謝申し上げます。
今年度、初めて浄化槽業務を担当することとなりましたので、自らの勉強も兼ねて浄化槽法(昭和58年法律第43号)の変遷を振り返りつつ、今般行われた同法の改正についてご説明したいと思います。
2 浄化槽法の変遷
日本の浄化槽は明治44年に誕生したのが最初といわれておりますが、浄化槽法の歴史は意外と浅く、昭和58年、今から35年ほど前に制定されました。それまでは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)により規制されてきましたが、下水道未普及地域における水洗化要求の高まりから、当時主流だった単独処理浄化槽が大幅に増加し、水質汚濁等の問題が発生したことを踏まえ、浄化槽の製造、構造、設置、保守点検及び清掃の各段階での必要な規制と浄化槽に携わる者の責任と業務を明確化するため法制度が築かれました。
なお、法定検査については、浄化槽法の制定より前の昭和53年に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)において規定され、本県においては、厚生大臣の指定を受けた貴協会により昭和55年から行われてきました。
その後、国庫補助制度の創設により合併処理浄化槽への転換が促進されたものの、なおも単独処理浄化槽が水環境の保全上大きな弊害となっていたことから、平成12年には単独処理浄化槽の新設を原則禁止する旨の改正が行われました。さらに、平成17年には、公共用水域等の水質保全等の観点から、放流水の水質基準の創設等の改正が行われました。
3 今回の改正について
本年6月19日に浄化槽法の一部を改正する法律(令和元年法律第40号)が公布されました。本県においては、平成29年度末の実績をみますと、合併処理浄化槽の割合が91.8%、第11条検査受検率が88.5%となっていて、どちらも全国トップレベルとなっていますが、全国的にみると、単独処理浄化槽が多く残存し、老朽化による破損・漏水が懸念されていること、法定検査の全国受検率が40%と低く浄化槽管理の強化が必要であること等を踏まえて、主に次の改正が行われています。